セイバーメトリクス -OPS編-
前回、得失点差がプラスであればあるほど勝率が高い傾向にあると書きました。 「得失点差がプラスであればあるほど」ということは、得点を多く取りかつ、失点を少なくする必要があります。 今回は得点を多くとるということについてフォーカスを当ててみようと思います。
打撃成績でよく見られる「打率」「出塁率」「長打率」「OPS」と、得点の関連性について見てみましょう。
打率
野球の打撃成績として「打率」というのがよく登場します。打率とはヒットを打つ確率(ホームランなども含まれます)のことで、以下の計算で求められます。
打率 = 安打 / 打数
ヒットを打てば打つほど(=打率が高ければ高いほど)多く得点が入るというのは理にかなっているように見えますね。得点と打率の相関関係を表すグラフを見てみましょう。
(※この記事のグラフは全て2005-2015の11年間×セパ12球団の計132チーム分のデータを元に作成しています)
相関係数は0.693なので、そこそこ強い相関関係にあることがわかります。
出塁率、長打率
次に出塁率と長打率です。それぞれ以下の様な計算で求めることができます。
出塁率 = (安打 + 四球 + 死球) / (打数 + 四球 + 死球 + 犠飛) 長打率 = 塁打 / 打数
出塁率とはヒットやフォアボールを全てひっくるめて、打者が塁に出る確率を表したものです。極端に言うと、チーム全員の出塁率が100%の場合は、誰一人アウトにならないという無限ループ状態に突入して、永遠と点が入り続けるというホラー状態に陥ります。
長打率は、1打数あたりの塁打数の期待値を表す指標です。例えば同じヒットでも、ただのヒットとホームランでは進める塁の数が違うので、ホームランはヒット4本分と考えようというのが長打率の考え方です(打率では両方同じ1本のヒットとカウントされます)。ホームランが多い選手などは必然的に高い値となります。
こちらもグラフを見てみましょう。
出塁率、長打率の相関係数はそれぞれ0.726、0.813となり打率よりも強い相関関係にあることが分かります。
OPS
OPSはOn-base plus sluggingの略で、単純に出塁率と長打率を足したものです。
OPS = 出塁率 + 長打率
例のごとく、こちらもグラフを見てみましょう。
今までの値より更に強い相関関係があることが分かります。(相関係数は0.887)
この結果から、単純に打率よりもOPS(塁に出る確率が高い+塁打を稼ぐ能力がある)が高いほうがより多くの得点を期待できるということが分かります。
これらは既に知られている話で、有名な「マネーボール」では、当時注目されていなかった出塁率を重視したチームを作ることによりチームが快進撃を続けるという話となっております。
機会があればそのへんの話も書いてみたいと思います。